電車やデパートといったあらゆるところに取り付けられている禁断の園。
此処、私の学校の廊下にも取り付けられている。
赤く染まる禁断の園の中心には、まあるい果実がなっている。
「非常時以外は押さないで下さい」と書かれた文章を、私は都合よく解釈した。
「一人になりたい方は、押して下さい」
それに一度くらい足を踏み入れてみたいと思っていたし、食べてみたいとも思っていた。
だからという訳でもなく、勿論振られた腹癒せでもなく、ただベルが私を呼んだ。
私をそそのかした。
「あんた押しちゃいなよ」って。
鳴り響く耳に痛い程の君の哀の叫びを、私一人だけが慌てふためく事もなく、無論避難することもなく、その哀しみに共感しながら聴いていた。
たまには君だって叫びたいはずである。
叫ばないに越した事はないけれど。
ごめんね、君のせいにして。
私は一人になりたくて、非常ベルを押したのに・・・分かってる。
もう大丈夫だよ、私の代わりに叫んでくれて本当に「ありがとう」
また一人になりたい時、来るからヨロシクね。