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初留守(ういるす)

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 「留守番できるわよね。良い子にしているのよ」
 ママはボクにそう告げて、お買い物にいった。 いつもはお買い物に着いていくのだけれど、今日は着いていかなかった。 実はある事を無性に体験してみたかったのだ。 友達のガクがこの間体験したのだ。 話を聞いていて是非ボクも体験してみたくなった。 それが、初留守だ。 つまり今日は、ボクにとって初めての留守なのだ。
 ママは無理やりでも連れていきたかったみたいだけど、ボクは着いていく気などさらさらなかった。 だってボクはもう5歳なのだ。 一人でお留守番できるかって? 冗談もほどほどにしてくれよ。 今の5歳児をなめないでほしいね。 ボクの演技力、説得力はなかなかのもんだったろう? ママよ…

 さて、何からしよう。 あれもこれもしたいことがある。 この家を好き勝手にできるのだ。 いつもガミガミ言うママはいない。 こんな楽しくて面白いことがあるだろうか。 そう思うだけでボクの胸は高ぶった。 ボクはこの家に寄生する『ういるす』なのだ。 今日はこの家をめちゃくちゃにしてやる! 怒られるのは覚悟できている。 その分、今から楽しめばいいのだ。
 それに相手は5歳児。 怒るっていったってたかが知れてるさ。 ママはうるさいだけだから、ティッシュ濡らして耳に詰めときゃいいんだ。 しつこかったら、泣いて良い子を演じてやるよ。 ボクの演技力、説得力はなかなかのもんだって、ついさっき分かったところだし。

 さぁて、何からしてやろうか。






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