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一輪 咲いた花がある

人肌にすぐにでも馴染みそうな
半透明の薄い卵色の花びらで

振り撒く花粉は濃い黄色
濃厚で甘い蜜の香りは
真面目な昆虫だけでなく
人の心すらも魅了する



一つ 魅了された心がある

何を思うわけでもなく
知らず知らずに憧れたがゆえの
恥ずかしいくらいの無知さで
赤信号の横断歩道を渡る

男が駆け込んだのは小洒落た花屋
見覚えのある花に駆け寄って
店員を呼び 名前を尋ねた



一枚 書き留めた紙がある

ジーンズのポケットからはみ出して
窮屈そうに青空を見上げている

時折 すれ違う人に手を振るも
誰も気付いてはくれなかった
唯一 空しい思いを紛らわせたのは
男の軽快な足取りだけだった



一店 夢を売る店がある

男はポケットから紙を取り出して
店員にそれを手渡した

店員はいちいち頷きながら
店の奥から種を持って来て
満面の笑みを作って男に告げた

「この種はタダですよ」と



一粒 手の中に種がある

米粒ほどの大きさの
こげ茶色の種がある

頼りなく柔らかく
今にでも潰れてしまいそうな
酷く脆い種がある

男はそれをさも大事そうに
優しく握り締めている



一鉢 人それぞれに鉢植えがある

男は自分の鉢植えの埃を払い
汗で濡らした雑巾で拭いた

程よくピカピカになってから
安い土を丁寧に敷き詰めて
そっと種を埋めてみる

おそるおそる水を遣ると
じんわり冷たさが広がって
次第に温もりへと変わっていった



毎日 欠かさず水を遣る

遠慮なしに微笑みを注ぎ
一方的に語り掛ける
気付けば芽が顔を出していた

少しずつ成長していくその中で
芽は茎を太くして 葉を作る
一向に蕾だけは成らないが
行き詰って辛い時には
それは確かな励みになった



毎日 肌身離さず持ち歩く

共にしょげ込み
共に歓喜し
全てを分かち合って…



そうして いつしか蕾が成るのだろうか

見事な花を咲かせるのだろうか



同じくして 私の夢も叶うのだろうか

まあ それは問題ではないのだろう

たとえ その願いが砕かれようと

それはそれでいいではないか

と今になって思う私がいるから



ただし この種は立派に育てよう

私なりの感謝の気持ちと

精一杯の真心を込めて



責任を持って育て切ろう

無事に綺麗な花を咲かせたその後も

私が死するその日まで

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◆ 2007年 − 今、愛に触れたよ

◆ 和 − わたしの幸せの人

◆ 松 − 砂糖漬けの私

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