林檎は男に食べられながら 自らの命の奪われゆく中で 嬉し過ぎて 泣いた わんわん 声を荒らげて泣いた 遠慮なく 格好悪く泣いた そんな事は構わなかった この際 どうでもよかった 林檎は思ったのだった 出荷された他の林檎たちよりも 贅沢な人生を送れたのでは そう思ったのだった 今まで抱かなかった感情が 次々と生まれ 膨らみ 満たし その度に溢れ 零れた そうして 林檎はとうとう この世界から 消えて いなくなった