栄養が行き届かなかったのか ある林檎だけは 他と比べて細長く また小さく 酷く未熟に見えた 次々と収穫されて トラックに積まれゆく中 その林檎だけは決して 積まれることはなかった 消え入るロウソクのようで ある意味では悪あがきに見えた さっさと朽ち果ててくれよ 俺の栄養を奪うんじゃねぇ と 罵声を浴びたりもしていた けれど 林檎は諦めずに そんな中を耐え忍んで 生きようとし続けた 大人になろうとし続けた きっと 誰よりも 生きたいとひたすらに 願い続けていたに違いない