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ラブとラブなカウンターパンチ (1.46KB)

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ファーストフードの店内は昼過ぎで大いに賑わっていた。もう騒々しいくらいに。

大半の客が季節限定のセットメニューを食べている。私と親友の栞はいつもと同じ、通常のセットメニュー。

経営戦略にまんまとはまってどうするのよ!!と負けず嫌いの私は心の中で思いながら、横に座っている彼を見つめる。同じように季節限定のセットメニューを頬張っている。彼も、まんまとはまったその一人。

だけど、もうそんなことはどうでもよくなっていた。食べ始めると、些細な怒りなんてどうでもよくなってしまった。ただひたすらに、食べ物で膨らんだ柔らかな彼の頬が愛おしくて。許すこと(正確には忘れること)にした。

私の視線に感づいたのか、彼が視線を私へと向けた。その瞬間、心の奥底からゾクリと快感が湧き上がる。これだ、と思う。これが彼の沢山ある魅力の一つなんだ、と。

大きくてまあるい円らな瞳。一瞬で目標を捉えて、そのまま決して逃がさない。見つめられるとたまらない。もしかしたら、私だけかもしれないけれど。いや、むしろ、そうであって欲しいのだけれど。もはや、病み付きになるほどの一種の快感を覚えて、うっとり見惚れてしまう。幸せのひととき。

「あんたたちホント、ラブラブよね。見ているこっちが恥ずかしいわよ」

呆れた様子で栞は言い放った。それとほぼ同時、私は心の中で否定していた。そうじゃないの、と。

誰にも気付かれないように、僅かに膨れた頬。すねたようにフライドポテトをかじる。すると彼が私の頭を優しく撫でながら言った。私の代弁をしてくれるかのように、極自然に、さらりと言い放ったのだった。

「そんなことないよ、まだまだこれから。二人の先は長いんだから」と。

私は視線を落として、震えるように感動した。全身が、心臓から広がるように火照っていくのが分かった。嬉し過ぎて、涙が出てしまうくらいだった。でも、私も大人の女性(のはず)なので、そこはクッとこらえて、また彼に視線を注ぎ直す。それでも、行き場のない気持ちは錯綜して。今すぐに抱き締めたい、包み込まれたい、と強く願わずにはいられなかった。ただ、この場ではそうする訳にもいかず、また彼に懇願する訳にもいかず、仕方なく視線を前方に戻した。

そんな私の胸の中や頭の中は、小さなパレード状態。店内に負けないくらいに賑わっていた。

親友はすっかり呆れ果てた様子で、彼に対して「ハイハイ」と相槌を打つ。そうして、遠くを見つめるようにして、深い、ふかい、底知れぬ溜め息をついた。

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