トップ手引き私紹介日記帳作品集リンク連絡箱

ライン (4.75KB)

風鈴 (0.53KB)

ライン (4.75KB)
涼かな音を待ち侘びるように
鈴虫がよい子で
新鮮な胡瓜を齧っておりましたので
ここぞとばかりに
風鈴は身を震わせたのでした

あまりに高音の
あまりに美しい音色が響き渡り
速やかに
いくつかの夜を隙間なく
孤独なく満たしていきましたが
彼は
西瓜に齧りつく私たちを見ても
微笑んだり
喜んだり
嬉しがったりはしないのでした
彼にとっては
彼の目立つことのできるのが
何よりのことなのでした
それ以外は
どうであれ別によかったのです
また彼の音楽性は
後代に残すべき素晴らしいものでしたが
西瓜に齧りつく私たちのようには
歌を歌えないというのです
そもそも歌は何だと
そればかりを尋ねるのです

どうして私たちは
幸せなことを幸せなことだと
認識できないのでしょうか

鈴虫のように素直にも
風鈴のように繊細にも
とても優しくは生きられないというのに
私たちはあまりにもみすぼらしく
不幸を笑える生き物だというのに
私たちには感情があり
私たちには歌が用意されています

どうして私たちは
幸せがすぐそばにありながらも
一心に無視を決め込めるのでしょうか

私は
どす黒く醜い
無形の生物の生まれそうになるたび
何か大事なことの忘れそうになるたび
そのような夏の日の
鈴虫のことや
風鈴のことやを
ふっと
過ぎる風のように思い出すのです

拍手する - 管理人が嬉しく飛び跳ねます (288B) 感想を伝える - 管理人が喜び走り回ります (166B)

ライン (4.75KB)

作品集選択へ戻る

□ 最近の作品集 − 瑞々しく愛は

□ 全作品集 − それでも足跡は残るから

◆ 詩集 − 魅了された流れ星

◆ 2008年 − 海底のラブソファ

◆ 葉 − 裸足の足をぶつけ合いながら

◆ 梅 − どうしても文に残したいこと

□ オリジナル詩集 − 巡り会うとき

ライン (4.75KB)

あたまてびきわたしにっきさくひんつながりてがみ

inserted by FC2 system