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     T.喜

乾いたどんぐりがころころと笑うので
私もつられてけらけらと笑う
ひとけのない遊歩道
静まり返ったベンチの上で
私たちは酷く笑い転げている
世界に奇妙に
笑い声が運ばれていく



     U.見

私はどんぐりを見下ろす
直向きに
そう
笑い上戸のどんぐりには
決まって好奇の視線は注がれるものなのだ
だから
どんぐりは非常に落ち着いている
嫌悪したり
怖れたりしない
さもおかまいなしという風に
酷く大人びて
私を柔らかく見返してくる



     V.哀

どんぐりはまあるくて大きな目で
私のことをくるりんと映す
そのときのどんぐりは
どこか愛らしく映る
まるで幼い子どもが背伸びをしているかのようだ

私は私で
負けじと大きな目で
どんぐりのことをくっぽりと照らす
一定の距離を保ちながら
広く
スポットライトを当てるように
なるだけ誠意を込めて

しかし
スポットライトの光は
優しさではなく
興味の塊でできている
ことを私は哀しく思う
水たまりに取り残された蛙の気分だ

どんぐりはそのことを知っている
自分が一般的ではないということも
目の前の私が 笑いながらも
同時に哀れんでくれているということも

どんぐり何も言わない
どんぐりは笑うだけだ

私はどんぐりの輪郭を
思うままになぞる



     W.風

いじらしく
どんぐりが くしゅん と
くしゃみをしたので
私は帰宅時間が迫ってきたことを知る

どんぐりは立ち上がり
帰るべき場所に帰っていく

どんぐりの背中は
あまりに小さい



     X.雨

次の日
どんぐりはベンチの上で
しくしく泣いていた
もう
どんぐりではいられないのだそうだ

私も心を寄せて
さらさらと泣いた
もう
どんぐりには会えないのだ
私はとても悲しんだ
どんぐりはすっかり泣き止んでいたけれど
私は嘆きに嘆いた

その日

世界には
雨が溢れた

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