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桜 (0.32KB)

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「私って手をつなぐのが好きなのよ」

桜は嬉しそうに言う。

まるで幼い子どもが大粒の飴玉をプレゼントされたみたいだ。目をきらきらにし、そよ風に茶色の髪をなびかせる。

歩き慣れた遊歩道。

桜は子犬のような目をしている。まんべなく可愛く、初々しく眩しい。

陽の光が桜にだけ注がれているように感じるのは僕だけではないはずだ。いや、単に僕が桜に恋をしている、というせいもあるのかもしれない。いずれにせよ、それはあまり重要なことではない。

「だってね」

桜は話を続ける。

「手をつなぐという行為はね、大切なものを守っているからなの。言葉では表せない感情がね、手と手をつなぐと自然と中央へ集まってくるの。手のひら二枚でそれを受け止めて、あたためて、守るの。尊い行為なの。ねえ、私の言っていること、言いたいこと、わかるかしら?」

桜は同意を求める。前を向いたまま。桜の前髪が光にほどかれていくのが見える。

しかし、桜は僕が同意することを期待してはいない。何故なら、桜は同意を求めるときは決まって僕の目を見て言うからだ。

僕は分かると答える。

僕にも漠然と分かるのだ。何故なら、なぜなら…

ただ、漠然と分かる僕の「分かる」は妙に嘘っぽく響く。桜は特に気にしている様子はないが、僕はそれをとても残念に思う。

桜は僕を放ったらかしにして、隣で頬を膨らませて遊んでいる。まるで飴玉を舐めているみたいだ。舌で頬を膨らませるのに、夢中になっている。

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