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ボク・私

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 頭が真っ白になった・・・・・・怖い。怖くて何が何だか分からない。ただ、怖い。
 でも、白は心地良い。 まるでボクを包み込むかのような暖かな白は、ボクが心の奥底で長い間欲した色だったのかもしれない。 しかし白も長くは続かない。 白は再び、黒へと変貌を遂げた。 そして黒だけではなく、この世界に、他の色も迷い込んで来たのだ。
 ボクの顔から、赤がどっと噴き出し流れている。 その赤を、深く愛しいと思った。 この赤も、ボクが長い間、欲した色かもしれない。 赤は噴き出すが、痛み等は何も感じない。 ボクさえ、ボクの行動が理解できないでいる状況だ。
 本当は、色を欲していたのかもしれない。 黒以外の色を探していたのかもしれない。 ボクの手は、何度も何度も、刃物を振りかざし、ボクの顔を、額を、鼻を、頬を、口を、顎を・・・刺す。 そう、何度も、何度も・・・
 身体の奥底から、色を求めて・・・
 そしてボクの瞳から、灯が消え、真っ黒な光を発しない黒真珠と化すまで、ずっと・・・・・・ずっと・・・・・・


 ボクは意識を失い、再び気づいた時、ボクは浮いていた。 闇は姿を消し、此処はボクの部屋。 ボクは、空中に浮いている。 直ぐに、ボクは我が目を疑わずにはいられなかった。 何故なら、ボクの目がボクの身体を捉えたからである。 顔を見ても、とてもじゃないが、ボクだとは分からない。 ボクの顔は数え切れない多くの傷と、赤でできていたからだ。 誰だか判別できないような顔であるのは言うまでもない。 他人ならきっと分からない。 だが、ボク自身がつけた傷のせいだろうか、それともボクがボクであるからだろうか、第六感からだろうか、ボクには何となく、それがボクだと認識できる。
 そう・・・・・・ボクは死んだのだ。

 赤に塗れた顔をじっと見つめた。 ボクの心をじっと見つめた。 ボクには、その赤く一色に染まっているボクの顔が、死に、満足を抱いていたのではなく、どこか少し哀しげであり、光を失った黒真珠のような瞳の奥には、かすかに悔いがあるかのように思えて仕方がなかった。
 本当は、ボクは、死にたくなかったのだろう。
 自分の想いにふと気づかされた時、不思議とボクの瞳と心は、何かに満たされ始めた。 それは、とてつもなく強い想いだった。 湧き上がる想いは、ボクの内から外へと、言葉なって溢れ出す。
「もっと生きたかった」
 もう、ボクには、そう思うことしかできないのだろう。 だってボクは、ボクの命は・・・もう何処にも、存在しないのである。 存在しえない命を元に戻す事など、誰にもできないのだから・・・そう、ボクは、死んだのだ。 ボクは死んだのだと、何度も心の中で繰り返した。

 遺体を眺めるボクの瞳から、そして遺体のボクから、何かが零れ落ちたように感じた。 冷たさの中に、ほんのりと暖かさを持つ何かが・・・・・・
 それが何か分からない。 いや、ボクにはもう、分かりさえしないのである。
 ボクは・・・・・・・・・・・・










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